次世代金融のトレンドワード「DeFi」とは何か? イーサリアムが先導する分散型金融の世界を過去記事から分析・解説

2019年になって「DeFi」(ディファイ)というキーワードをよく聞くようになった。DeFiは「Decentralized Finance」の略で、日本語では「分散型金融」と訳されることが多い。弊誌にも、夏から秋口以降よくDeFiの記事が載るようになったが、分散型金融とはどういうものなのだろうか。今回は、DeFiについて解説してみたい。

DeFiは、具体的には証券、保険、デリバティブ、レンディングなど金融分野において、ブロックチェーンを活用したアプリケーションによって構成される金融システムを指す。仮想通貨同様、中央管理者を必要とせず、分散型ネットワークによる自律したエコシステムで、誰でもアクセス可能かつ透明性の高い金融システムやプロジェクトを総称する。

現時点のプロジェクトとしては、中央管理者がいない分散型の仮想通貨交換所(DEX)、仮想通貨の貸し出し、デリバティブ契約などがある。

これまでの記事を見ていると、DeFiは主にEthereumによるプロジェクトが多く見られるが、その限りではない。Ethereum以外でも、ブロックチェーン上に構築された分散型の金融サービスであれは、DeFiプロジェクトに分類される。

DeFiの現状

この夏、Ethereumで分散型アプリケーションの社会実装を目指す米ConsenSys社は、「Digital Asset Market Report Q2 2019」という仮想通貨市場に関する2019年第2四半期の調査結果を報告している(参考記事)。

ConsenSys社のレポートでは、DeFiを次世代金融システムとして紹介している。DeFiは新規プロジェクトの立ち上げが増えつつあり、Ethereumのプロジェクトの中でも成長分野の一角として注目を集めている。2019年7月末の時点でDeFiにロックされたEthereum(ETH)の合計額は4億7800万ドル相当に上り、前年比で100%以上の増加だった。

また、同レポートによると、DeFiにロックされたETHのうち、65.6%はステーブルコインDAIを提供するMakerがロックしている。MakerはCompoundやInstaDappといったほかの有力なDeFi基盤とも連携しており、DeFi市場の90%以上はMakerを中心に構成されている。これだけでも、DeFiによる金融分野のビジネス規模が大きくなりつつあることが理解できる。

奇しくも時を同じくして、金融庁が令和元年度における金融行政の方針を取りまとめた文書として「利用者を中心とした新時代の金融サービス~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~(令和元事務年度)」を公開した。

その中で、金融庁は昨事務年度の実績として、国際社会における合計16の金融当局・中央銀行・国際機関等に加え、国内外の学会研究者らが参加した会議において議論を行い、分散型金融システムがもたらす機会を十分活かしつつ、リスクにも対処していくには、当局者、技術コミュニティ、事業者、利用者、投資家、アカデミアといった幅広いステークホルダーによる協力(マルチステークホルダー型アプローチ)が不可欠という認識を共有したことを報告し、分散型金融に触れている。

また、本事務年度の方針として、これまでの議論や国際共同研究も踏まえ、ブロックチェーン技術等を活用した分散型金融システムのガバナンスのあり方について、マルチステークホルダー型アプローチで議論するガバナンスフォーラム(仮称)を開催することも明らかにしている。ちなみにこの時点では、金融庁はDeFiというワードは使用していない。

どちらのレポートも8月に公開されている。

Ethereumが先導するDeFiの世界

7月末の時点で合計額は4億7800万ドル相当に達したDeFiにロックされたETHは、11月には最高額である6億6000万ドルに達したというニュースを弊誌では報じた。

2019年11月11日

イーサリアムの分散型金融プロジェクトが活性化 〜DeFi上のETH預金残高が6億6000万ドルまで増加。2019年後半で最高値

ロックされたETHとは、従来の金融機関でいえば銀行が持つ預金残高に相当する。分散型金融では、特定の銀行が存在しない代わりに、ブロックチェーンというシステムが預金を管理するのが面白い。

同記事では、DeFiの代表的なプロジェクトとして、ステーブルコインDAIを発行するMakerDAO、貸付プラットフォームのCompound、分散型デリバティブ取引のSynthetixを挙げている。ロックされているETHのうち、半数以上はMakerDAOがロックしていることも告げている。

また秋口になって、DeFiプロジェクトに関する単独記事が目立つようにもなった。

2019年9月2日

仮想通貨利用の分散型金融業Compound、セキュリティ監査で高評価 〜米ツェッペリン「公平なルール。コードに致命的な欠陥なし」

2019年11月8日

MakerDAO、ステーブルコインDAIの総発行量1億ドルを達成 〜18日に新型DAIを実装。現行のDAIはSAIへ改名

2019年11月19日

分散型金融のMakerDAO、ステーブルコインの新仕様を実装 〜ETHとBATを担保に利用可能に。従来のDAIはSAIに改名し決議後にドルペッグと発行を終了

次の記事では、米リップルが仮想通貨XRPへのDeFi向けの機能実装や、XRPを担保とした米ドルペッグのステーブルコインについて触れている。

2019年10月7日

米リップル、XRP担保型ステーブルコインに関心 〜投資部門Xpringがブロックチェーンの機能強化を提案。コンセンサスの二層化・分散型金融など

また、Kyber Networkによる分散型金融専門のオンラインハッカソン「#KyberDeFi Virtual Hackathon」開催の記事や、オンライン学習プログラムPoLの新カリキュラムにDeFiを採用するなど、DeFi周辺の動きも見られるようになってきた。

2019年9月10日

分散型金融のオンラインハッカソンをKyberが開催。賞金総額450万円超 〜日本からも参加可能、DeFiプロダクトの提出期限は10月21日まで

2019年9月19日

PoL、分散型金融に関するオンライン学習カリキュラムを9月末以降に提供開始 〜MakerDAOと協業し共同制作。ステーブルコイン・DAO・DeFiを学べる

その流れの中で、先駆けて開発者獲得競争では、DeFiに関する技術者の争奪戦が行われているのも興味深い。

2019年8月29日

ブロックチェーン開発者の18%がイーサリアムに集中。小規模プロジェクトの淘汰進む 〜「開発者数が増加したプロジェクトはたった6つ」ConsenSysが開発者動向を報告

DeFiに対する取り組みが、いよいよ本格的に動き出した証しではないだろうか。

DeFiの認知が進む

2019年9月6日

金融庁長官「暗号資産はルールや税制などグローバルに対応を進める」=FIN/SUM 2019 〜ブロックチェーンはマルチステークホルダーの参加による議論を推進

2019年9月26日

仮想通貨ビットコイン認知度は一般層で90%超。高齢者ほど知っている 〜マクロミル・コインチェック・HashHubが合同で調査結果を報告

2019年10月11日

ヴィタリック氏「イーサリアム2.0でも既存の分散型金融の多くは存続できる」 〜7つのDeFiプロジェクトを例にシャーディング環境への対応策を説明

DeFiが2019年後半になって、もはや無視できない分野へと成長していることが明らかになった。

BitcoinによるDeFiの可能性

やはりDeFiはEthereumを中心に動いていることが、過去記事からも見てとれるが、他の仮想通貨やブロックチェーンでも、その動きがないということではない。

やや遅れを取っている感がなきにしもあらずだが、米リップルがいよいよ動き始めた。DeFi関連企業の買収だ。

2019年10月2日

米リップル、XRP活用の分散型金融構築に向け2社買収しエンジニアを獲得 〜取引基盤開発のアイスランド企業と米ロゴスがリップル傘下に

また、会員制オンラインサロンのビットコイン研究所が11月26日に掲載した記事「BitcoinのDefiを実現する4つの方法」にて、海外ブロガーの記事を紹介しつつ解説をしている。Bitcoinでは、現時点では4つの方法で、その実現の可能性があることを論じている。

  1. Bitcoinのスクリプトで実現
  2. セカンドレイヤーをつかう
  3. サイドチェーンでの実現
  4. 他のチェーン上で実現する

また、ビットコイン研究所に掲載された同記事では、DeFiによる次世代の金融分野はEthereumが一歩リードしているとしながらも、「最も流動性があり、最も時価総額の大きなBitcoinを原資産としたDeFiへのニーズやポテンシャルは非常に大きなものがある」と分析している。

いずれしろ、DeFiというこれまでは耳慣れなかった分野が、すでに本格的に動き出していることが過去記事からもありありと見てとれるのではないだろうか。今後のDeFiの世界に大いに期待したい。

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